2021年3月13日(土)にリサイタルをされる鈴木さんに、リサイタルに向けたインタビューをさせていただきました。ご来場いただけますお客様はこちらをお読みいただき、リサイタルまでのお日にちを楽しみにお待ちください。
【 鈴木萌子:ピアノ 】 プロフィールはコチラ
≪この1年はコロナ禍でのご留学となってしまいましたが、ご留学先での生活やレッスンはいかがでしたでしょうか。≫
「雨降って地固まる」と自分に言い聞かせ、世界で起きている現状を受け入れることから始まり、変えられることを変えて、日々入り込んでくる情報に一喜一憂せずに過ごすことを心掛けていました。ロックダウンとは日本の緊急事態宣言とは違って法的拘束力があります。そのロックダウン中に外国で外国人として暮らすことは非常にドラマチックでした。通常の生活でも「何も起こしてはいけないし何も起きてはいけない」と注意して生活をしていましたが、ロックダウン中では緊張感は非常に高いものでした。
座学の授業は基本的にオンラインやテキストで行われました。毎回20ページから30ページ程度のドイツ語もしくは英語のテキストを解読し、先生が用意した課題に答えることで読解力や作文力が飛躍的に向上しました。最初のロックダウン中の実技レッスンは演奏動画を送り、ビデオ通話で教授と議論、2回目のロックダウン中のレッスンは距離を保ちながら通常通り対面で行われました。教授は学生が心の健康を保てているか、練習へのモチベーションはあるか、練習できる環境か、いつも気にかけていて、私にとって大きな助けとなりました。思うように練習時間が確保できないときもありましたが、学生同士の思いやりや声掛けは非常に心地の良いものでした。
≪このリサイタルにかける意気込みを教えてください。≫
生の音を届けることやそれを楽しむことが以前よりも難しくなった人々が増えた印象です。ピアニストのアルフレッド・ブレンデルはZeit Onlineのインタビューで記者の「誰か聴いていいる人がいるのといないのとでは違いがありますか?」という質問に”Man spielt für Zuhörer, aber man übt nicht vor ihnen.”(聴衆のために演奏するが、聴衆の前では練習はしない)と答えています。すぐそこに実際にいる「聴衆のために演奏する」ということ、生の音を届けられること、2021年3月13日に奏でる音はその時にしか奏でられないことに大きな喜びと少々の不安を抱きながらも、心を込めて準備しています。
≪演奏する曲の中でお勧めしたいポイントを教えて下さい。≫
時や空間を超えて受け継がれていく物や作品、考え方には多くの人々の愛情がぎっしり詰まっています。今回のプログラムはそれぞれの曲が異なる時代様式で、全く多彩な色彩感を持っています。音域やハーモニー、調性、曲の雰囲気などの違いを楽しんだり、その曲が作曲された時代はどのような時代でどんな楽器だったのか想像力を働かせたり、誰かに「あの曲いい曲だったよ!」と伝えたくなるような一曲に出会っていただければ嬉しいです。(そう思わせる演奏をしなければなりませんが!) もちろん、ただ音楽が流れる空間に身体と感情を委ねることもできるプログラムです。
≪今後、こうした音楽家になっていきたいという理想を教えて下さい。≫
“Wir sind Musiker und Menschen”(私たちは音楽家であり人間です。)とは私のドイツでの師匠、ハルトマン教授の言葉です。偉大な作曲家たちは、人間だから得ることのできる喜怒哀楽を享受し、学問を学び、それを音楽に表現し素晴らしい作品を残してきたと私は考えています。私は自然や生き物を愛して守り、学び続け、自分と周りの人に優しく、そして多くの人との対話と音楽を楽しむことができる、そんな音楽家(人間)でありたいと思います。
≪お客様へお一言お願いします。≫
こんなご時世ではございますが、たくさんのご来場を心よりお待ちしております!多くの方々に生演奏を聴いていただければとても嬉しいです。当日は満席236席のところを100席限定にしておりますので、ゆったりとご鑑賞していただけます。広いホールの客席で聴くスタインウェイのピアノの音色をお楽しいください。
2021年3月13日(土)チケットお求め方法
主催:アイリス音楽振興会
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